竜爪山九条の会 1周年記念のつどい

 発会1周年記念行事として、「関研一蔵書展」を催しました。その様子はこちらからご覧下さい。


☆1周年記念講演

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 とき 2008年3月2日(日)午後1時30分~

 ところ 西奈公民館(リンク西奈)2階ホール

 演題 アフガニスタンは今

 講師 レシャード・カレッド氏

      医師/カレーズの会理事長

         カレーズの会公式サイトはこちら→

 参加者 90名

 主催 竜爪山九条の会

 後援 静岡市国際交流協会

 

 アフガニスタン出身の医師レシャード先生(島田市で開業)は、9.11同時多発テロ(2001年)を きっかけとしたアメリカのアフガニスタン攻撃によって、大きな被害を受けた祖国の人たちを救うため、カレーズの会を設立しました。

 カレーズとはアフガニスタンでみられる地下水路のこと。表面から見えなくても、大切な水を人々に送り続けます。カレーズの会は、表面的に目立たなくても、生命を守る援助を続けています。カレーズのように・・・

竜爪山九条の会発会1周年記念講演「アフガニスタンは今」講師のレシャード・カレッド氏
竜爪山九条の会発会1周年記念講演「アフガニスタンは今」講師のレシャード・カレッド氏
1周年記念講演で、レシャード先生のお話しを熱心に聴講する90名の参加者
1周年記念講演の会場のようす リンク西奈大ホール・静岡市葵区瀬名


レシャード・カレッド氏の講演内容

竜爪山九条の会 発会1周年記念講演

 

 医師でカレーズの会理事長レシャード・カレッド先生が、「アフガニスタンは今」と題して、スライドを使いながら、流暢な日本語でユーモアを交えながら講演しました。

 レシャード先生はテロ対策特別措置法案(特措法)審議に際し、衆議院予算委員会に参考人として招かれ、昨年11月5日、陳述をおこない、この正月から2月にかけて、現地事業支援などのため、祖国アフガニスタンを訪れました。

 アフガニスタンはイランとパキスタンにはさまれた内陸国。面積は日本の1.7倍、人口は日本の4分の1にあたる3000万人。日本の本州とほぼ同じ緯度にあり、四季がみられる。国土の3分の1が山地、3分の1が砂漠、3分の1が緑地帯。1979年、ソ連軍が侵攻し、1989年完全撤退するまで、事実上、ソ連の支配下におかれました。


レシャード先生講演要旨

 

 特措法に関する国会陳述で、「先進国の日本は国際社会から様々な貢献を期待されている。一つの国のしっぽだけ引っ張っていくようでは国際貢献などできない。国連常任理事国入りを目指している日本は、もっと中立的な立場を保つことが必要である」 と主張してきた。インド洋でテロの監視をするというが、アフガニスタンは内陸国で、どこからでも出入りできる。特措法はイラク関連の性格が強い。アフガニスタンのためと 言うなら、もっと他にカネの使い方がある。アメリカのためなら、アフガニスタンのためなどと言わずに、むしろ堂々とアメリカのためと言ってほしい。

 アフガニスタンの人口比率は、女性全体の中で14歳以下21.9%に対し、男性は全体の中で14歳以下51.9%と異常に多い。これは成人男子が戦乱などで大勢亡くなった結果であり、かわって男の子の働く割合が高くなっていることを示している。国民の中で、 栄養失調の人70%、安全な飲料水を確保できる人13%、識字率36%。新生児(生後30日以内)死亡率14.2%、5歳未満25.7%、つまり生れてきた子どもの4割が5歳を迎えることができない。1回のお産で命を落す女性も10万人に対して16人と高い。また、結核だけで年間3万人が亡くなっている。

 ソ連のアフガニスタン侵攻以前は、教育費も医療費もすべて無料だった。ソ連の侵攻で緑も水もなくなった。戦争はむごたらしい。150万の人が亡くなり、人の心がズタズタにされた。2000万個の地雷が残った。地雷の除去は進まず、地雷を踏んで足をなくす子どもたちは今も多い。

 ソ連軍の侵攻に徹底的に抵抗するため、多くのアフガン人がムジャヒディンとして国家解放に立ち上がった。それに目をつけたアメリカは、多量の武器を送り込み援助した。ソ連軍撤退後も国内に多量の武器が残り、ムジャヒディ ンどうしの内部抗争が始まり、内戦が続いた。そこへイスラームの学生によって組織されたタリバンが登場した。タリバンは厳格な政治をおこない、安全な国をつくったが、未熟な部分も多く、アルカイダがタリバンへどんどん武器を供給した。

 2001年の9・11同時多発テロをきっかけに、アメリカによるアフガニスタン攻撃が始まった。空爆によってク ラスター爆弾も投下された。地下30mのコンクリートも破壊し、2割は不発弾として残る。

 アフガニスタン復興は一部で進んでいるが、地域的に大きな格差があり、治安はむしろ悪化している。昨年、自爆テロ140件以上、道路沿いの地雷による被害220件以上、 空爆が450回以上あり、このことによって、新たな難民が生み出されている。犠牲者は 8000人を超え、ほとんどが普通の市民である。さらに、地球温暖化にともなう異常気象で、アフガニスタンも夏暑く、冬寒くなっている。今年の冬も気温が-25℃まで下がった。そんな寒さの中、粗末なテントで、はだしで暮している人たちが大勢いる。1400人以上の人が亡くなった。

 カレーズの会は9・11の翌年、2002年4月にアフガニスタンへの医療と教育面での復興支援を目的に設立され、7月に首都カブールに比べまだ復興の手が行き届いていな い南部カンダハールに医療拠点を開設した。以来昨年12月までに、大人の男性19623 人、女性73126人、子どもの男子21525人、女子16224人、あわせて130498人を診察した。ほとんど無料でやっており、患者の約7割が感染症である。3~4時間かけてやって来る人もいる。患者の4.9%は往診によるものだが、最近は治安の悪化などから往診が困難になってきている。薬は日本から持って行くと輸送費がきわめて高くなるので、隣国で購入している。一昨年9月から予防接種を始めたが、当面15~45歳の女性、つまりお産可能な女性にしぼっている。

 清潔な水を飲めるようにすることはとても 重要である。光触媒カプセルをポリタンクの中に入れ、外に置いておくと殺菌できる。 今、その普及に努めている。

 カレーズの会では、現在二つの施設を新たに建設している。①新クリニックは、お産用設備、産後ベッド3床完備、24時間完全看護体制で、予防接種や患者教育スペースも確保、日本の中古医療機器の再利用も進める。②新学校は、6年間の義務教育、大人の識字教育などを進める。

 土がやせ、水が枯れ、自然が失われる。戦争はむごいものである。


講演後の質問に答えて

 

☆質問 アフガニスタンはなぜ紛争が多い?

 

★答え 文明の十字路としての位置がきわめて重要だ。様々な大国が要衝としてアフガニスタンを狙ってきた。現在も、反米国家イランと、アメリカへの脅威となりつつあるロシア・中国とに手の届く位置として、アメリカにとって極めて重要である。ま た、様々な民族が入り込み、民族がバラバラで、壊れやすい社会である。大国がアフガニスタンを狙う時、まず内戦を起こさせて、お互い同士を弱めておいて、それから入った方が、侵略者の犠牲が少ない。

 

☆質問 近頃どうして治安状況が一段と悪化?自爆テロの目的は?

 

★答え  政府・米軍・連合軍に対する不満と不安。外から支配されることへの抵抗感が強 い。イラン・ロシア・中国に対する米軍の抑止力という点から、米軍はアフガニスタンを基地化し、出て行かないのではないか。 支援も平等ではなく、格差が広がっている。それに対する不平・不満。 貧困そのもの。食べるために子どもを売る、家族が生きるために自爆テロの募集に応募していく。このようなことが増えている。

 

☆質問日本はどうみられているのか?

 

★答え アフガニスタンにとっての日本はアジアの仲間である。日本だけは軍隊として旗を立てて来ていない。軍でないから、日本は信頼されている。日本が平和的な手段を使っているから信頼されている。だからこそ、現地での活動も守られている。今日まで日本人が殺されることもなくきている。しかし、その信頼が崩れれば 何が起るかわからない。イラクでも自衛隊が派遣されて、日本人の命が狙われるようになった。自衛隊を派遣するということは、隊員達への保険も含めて何百億というおカネがかかる。それを民間に活かした方がよほど良い。

 

☆質問 子どもの日常生活は?燃料は?  

 

★答え 就学率は男子60%、女子30~40%で、学校から帰ると家の手伝いなどする。学校へ行っていない子は、働いている。

 伝統的に薪、動物の糞。木が減り、かんばつで動物も死に、燃料も減っている。     


アンケートの結果から

 

 レシャード先生の講演に対して、26人中25人が「わかりやすかった」、24人が 「参考になった」と回答し、全般的にとても好評でした。

 

 また、「今のアフガニスタ ンに対し、こんなことをしたらどうかというようなご意見がありましたら、お書きください」という問いかけに、つぎのような意見が寄せられました。

 

◎今回の様にアフガニスタンの現状を多くの人に伝えていけたら良いと思う。今自分に何ができるか考えさせられました。

 

◎知ることが大きな援助になるのでは?これで「知った」と思わないで。子ども(日本)ではなく、大人が知っているとはいえないのでは?知る(大人も子どもも)とは、何を 知ることなのか?

 

◎もう救いようのない貧困だと思います。根底に教育制度が行届いていないのも原因だと思います。やはり教室の設立は大切です。

 

◎手だすけ出来る事は率先してやりたいと思う。

 

◎募金活動・子ども達に学習できる環境作りに手助けする、手に技術を持つよう支援。

 

◎出来るだけの協力をしたいと思いますが、日本から物を送るのはお金がかヽる。 寄付を集めるのが一番良いと思いますが、機会を多く作って、多くの方に呼びかけて下さい。命を守ることが一番大事だと思います。

 

◎中東は私たちからあまりにも遠い。知らないことばかりです。何が悪いのか見極めたい!!イラクもイランもパキスタンもなにも知らない私たちです。恥しいくらい自分のことが勢一ぱいの現況ですが、世界中が平和になりますよう願っています。


 上記の、講演の要旨、会場での質問のお答え、アンケートの結果は会報10号に掲載しています。

 会報はこちらからご覧下さい。→


 



 2008年3月3日静岡新聞・朝刊にレシャード先生の講演の模様が載りました。

 

 見出し

アフガンの復興 現状や活動紹介

葵区でカレーズの会

 カラー写真 

アフガニスタンの現状報告をするレシャード・カレッド理事長=静岡市葵区の西奈公民館



 「1周年のつどい」チラシにて呼びかけた【書き損じハガキ】募集の結果

 

皆さまに持ち寄って頂いた書き損じハガキと未使用切手の内訳
未使用収入印紙
3枚
 20円
  3枚
未使用切手
合計 54枚
100円
 36枚
 70円
  3枚
 50円
 12枚
 20円
  3枚
ハガキ
合計 189枚
年賀ハガキ
50円
145枚
往復ハガキ
100円
 20枚
普通ハガキ
50円
 11枚
41円
 10枚
40円
  2枚
20円
  1枚

 

 2008年3月13日(木曜日)、皆さまにお寄せいただいた書き損じハガキと未使用切手を、カレーズの会事務局へお届けしました。

 これらの書き損じハガキは、アフガニスタン・カンダハールのクリニックで働くスタッフの給与や子どもたちの学用品になります。例えば、

  • ハガキ 190枚 用務員の給与1ヵ月分
  • ハガキ 270枚 予防接種スタッフの給与1ヵ月分
  • ハガキ 350枚 薬剤師・看護師の給与1ヵ月分
  • ハガキ 120枚 50人の患者に処方できる抗生物質5日間分
  • ハガキ 230枚 20人の子どもたちの勉強に必要なバック・筆記具の購入費